■ 抄録・要旨
| 作物生産は気象や気候の影響を受けるだけでなく、気象や気候自体にも影響を与えることが近年指摘されている。このような中、この気候と作物生産あるいは気象と作物生産の相互作用が作物収量に大きな影響を及ぼすことが、全球大気モデルと作物生長モデルを結合した全球大気-作物結合モデルを用いて近年示された。この研究は熱帯性の天水作物(ピーナッツ)を対象としたものであるが、水稲を含むその他多くの作物に対する影響は未解明である。そこで本研究では水稲を対象に全球大気-作物結合モデルを開発することを目的とした。
本研究でベースとする大気モデルは、日本で開発されたMIROCとし、これに筆者らが開発したMATCRO-Paddyを結合させた。MATCRO-PaddyはMIROCに組み込まれている陸面モデルMATSIROに水稲生長モデルおよび灌漑・湛水の効果を入れたモデルである。仮計算として結合モデルと非結合モデル(つまりデフォルトのモデル)で計算される気温を比較すると大きな違い見られた。これは結合モデルの重要性を示唆するものである。
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